住宅密集地のただなかにある嘉手納基地で決行する米軍パラシュート降下訓練。今も米軍は、ベトナム戦争時の北部訓練場のゲリラ村よろしく、嘉手納の住民を標的ダミーに使うのだ。
玉城デニー知事「怠慢だ」 終わり見えない米軍パラシュート降下訓練 「常態化している」「例外に該当」地元自治体と政府で温度差 嘉手納基地で5カ月連続実施
米軍は嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を5カ月連続で実施した。今年に入って4回目で、年間では2019年に並んで過去最多となった。嘉手納での訓練は長期化する可能性が高く、県や地元自治体は「常態化している」と反発を強めている。政府は「例外に該当する」との立場で、温度差が広がっている。(政経部・嘉良謙太朗、東京報道部・新垣卓也)
「怠慢と言っても過言ではない」。玉城デニー知事は19日、従来より批判のトーンを強めた。滑走路の修復に時間がかかることを把握しながら、日米両政府が具体的な対策を講じていないことに不満を募らせた。
パラシュート降下訓練は1996年の日米特別行動委員会(SACO)合意で伊江島補助飛行場へ移転。嘉手納の使用は「例外的な場合に限る」としているが、合意後の訓練回数は今回で計19回に上る。
防衛省によると、米軍は日本側に「伊江島を使用できない状況下では、嘉手納を使用せざるを得ない」と説明。嘉手納での定期的な実施や常態化の意図はないと強調しているという。
日本政府も同調している。沖縄防衛局は今回の訓練を(1)定期的でなく(2)小規模で(3)緊急の必要性に基づき(4)伊江島補助飛行場の滑走路の不具合が継続している-として「例外的」との認識を示した。
県や地元自治体は一斉に反発。ある県幹部は5カ月連続での実施に「もう『定期的でない』に当てはまらない」と指摘。嘉手納基地周辺の騒音回数も増えているとし「負担軽減になっていない」と批判した。
最大の懸念は滑走路の修復完了時期が不透明なことだ。木原稔防衛相は米側が実施する地質調査の結果次第で工期が決まると説明。3月に米海兵隊から説明を受けた県によると、修復まで少なくとも数カ月を要する見込みで、嘉手納での訓練が続く可能性が高い。
別の県幹部は「修復が長期化することを分かっていながら、何も対応していない」と不快感を示した。周辺自治体の幹部も「負担軽減が大きな目的だったはずのSACO合意を『例外規定』で骨抜きにしている」と述べ、日米合意の見直しを強く求めた。
玉城デニー知事「怠慢だ」 終わり見えない米軍パラシュート降下訓練 「常態化している」「例外に該当」地元自治体と政府で温度差 嘉手納基地で5カ月連続実施 | 沖縄タイムス