これは大腿骨、これは肩甲骨 「100メートル圏内で遺骨続々 火炎放射器で焼かれた可能性も」(沖縄タイムス 2023年6月23日)


100メートル圏内で遺骨続々 火炎放射器で焼かれた可能性も 収集ボランティア「今もあちこちに沖縄戦の痕跡」

沖縄タイムス 2023年6月23日

 沖縄戦の組織的戦闘が終わった23日の「慰霊の日」を前に、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表(69)は22日、沖縄県糸満市山城のガマを含む未開発緑地帯を報道関係者と歩いた。3週間以内にこの地域の約100メートル圏内の5カ所で遺骨を発見したという。本島南部で現在も遺骨が発見される現状について「あちこちに沖縄戦の痕跡が残っている」と説明。戦後78年、今も戦争が終わっていない現場をルポした。(社会部・當銘悠)

 

 森に入り草木が生い茂る山道を5分ほど行くと、背丈を大きく超える巨大な琉球石灰岩が現れた。岩と岩に囲まれた狭い空間。具志堅さんは、そこで見つけた遺骨を手にした。「大腿(だいたい)骨に上腕骨、これは肩甲骨。石に埋もれた状態で見つかったけど、地面を掘ったらもっと出てくる可能性があります」
     
 岩の裏側には小さなガマがあった。地面にはいつくばるようにして、ギリギリ通れるくらいの小さな入り口。外からわずかな光が差し込むが薄暗い。

 

 「これは顎の骨と頭蓋骨の一部で焼けている。火炎放射器焼かれてしまったんだろうか」と、骨片を手に取る具志堅さん。

 

 すり減ったお年寄りとみられる歯や右手の小指、茶わんや軍服のボタンなども残されていることから、「ここには住民も日本軍もいたことが考えられる」と推測した。

 

 少し離れた場所の岩の下にあった骨片は、頭蓋骨と肩甲骨の一部という。薬きょうや軍靴の靴底も見つかった。山梨県在住の女性がここを訪れ、山城で戦死し、遺骨が戻ってこなかった祖父の慰霊をしたこともあったという。

 

 具志堅さんは戦没者の遺骨を開発から守ろうと、本島南部の未開発緑地帯を県有地にするよう求めている。「遺骨が、次世代に戦争の惨禍を伝えるための証言者になり得ると思う。県が区域を買い取って、慰霊と平和を祈る場にしてほしい」と訴えた。

 

 未開発緑地帯の開発や名護市辺野古の新基地建設を巡る南部地域の土砂採取計画に抗議の意思を示すため、具志堅さんは23日まで糸満市内でハンガーストライキを実施。23日は「戦没者の尊厳と県民の命を守る集会」も開く。

 

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