2003年8月28日 朝日新聞『米軍、ヘリ事故を「緊急着陸」と説明 日本の認識と格差』

 

 沖縄県宜野湾市で起きた米軍ヘリ墜落事故で、在日米海兵隊基地副司令官のジェームズ・フロック准将が27日、米海兵隊キャンプ瑞慶覧(ずけらん)(同県北中城村)で記者会見した。事故を「緊急着陸(エマージェンシー・ランディング)」と表現したり、ヘリ乗組員の名を明かさなかったりするなど、事故の重大性をめぐる日米の認識の差を改めて際立たせた。

 

 准将は会見の冒頭で「ヘリが宜野湾市内でクラッシュした」と、航空機の墜落を意味する言葉を使ったものの、事故の詳細を述べる際には使わず、「大学内に緊急着陸し、その際、建物と接触した」と述べた。13日午後2時19分には、ヘリの「着陸と炎上」を別の米軍機が目撃し、管制塔に伝えていたとも述べた。

 

 会見では、海兵隊による現場の封鎖にも言及した。基地外の民間地域だったため、地元の強い反発を呼んでいる行動だ。

 

 准将は事故後、海兵隊員が大学本館に入り、学生や教師の避難を「援助した」と説明。現場に着いた県警の警察官と米憲兵隊が、集まった人々を離れた場所にエスコートするように」調整し、「歩行者が気づかずに入って危険にさらされないよう、ヘリの残骸(ざんがい)周辺を規制した」という。

 

 県警の現場検証の要請には日米地位協定に基づき、海兵隊が現場での主導権をとる」と答えたという。

 

 乗組員3人は裂傷ややけどを負った。3人の名前や年齢・階級は「プライバシーの問題だ」と明かさなかった。

 

 同型機は22日に飛行を再開したが、准将は「性急に行われたのではない」と繰り返し強調。「テロとの戦いに向けて派遣されたもので、同日以降、普天間からCH53Dは飛んでいない」と理解を求めた。

 

 会見は約1時間。准将の説明に続き、報道側が事前に提出した計12問の質問状に沿って進められた。しかし、「県警の現場検証を拒否した理由」などには答えなかった。

朝日新聞『米軍、ヘリ事故を「緊急着陸」と説明 日本の認識と格差』(08/28 00:07)