沖縄タイムス「飛行中に10件の重大事故… オスプレイ普天間配備10年」(2022年10月1日)

 

飛行中に10件の重大事故

飛行中に10件の重大事故… オスプレイ普天間配備10年 安全性への懸念 払拭されず 陸自も計17機計画

2022年10月1日 10:12

 米軍普天間飛行場に輸送機MV22オスプレイが配備されて1日で10年となった。開発段階で事故が相次ぎ、安全性への懸念が払拭されていなかった機体は、普天間配備後も、飛行中に少なくとも10件の重大事故とされるクラスAの事故が発生している。

 

2016年12月に名護市安部の海岸に墜落した事故も含まれる。日米で合意した「飛行ルール」は順守されているとはいえず、県内全首長が配備撤回を求めて署名した「建白書」は一顧だにされていない状況が続いている。一方、政府は「安全性に問題はない」(浜田靖一防衛相)として、陸上自衛隊への配備も進める。(政経部・大城大輔、東京報道部・新垣卓也)

 

 米軍普天間飛行場のMV22オスプレイは、老朽化したCH46ヘリを更新するため24機が配備された。ヘリのように垂直離着陸し、固定翼機のように飛行できるなど機能強化の側面もある。強襲上陸作戦や災害救援などで、人員や物資などを輸送する役割を担う。

 

 CH46に比べ最大速度は約2倍、搭載量は約3倍、行動半径は約4倍とされている。

 

 陸上自衛隊も南西地域の防衛力強化を目的に、部隊を迅速かつ大規模に輸送・展開するため、2020年7月から木更津駐屯地(千葉県)にV22オスプレイを暫定配備している。

 現在は9機だが、防衛省は「最適の飛行場」と判断している佐賀空港を一部整備し、25年までに木更津のオスプレイを移駐させる考え。最終的には計17機を配備する計画だ。

 有事の際には、陸自の離島防衛専門部隊「水陸機動団」も輸送する。陸自トップの吉田圭秀陸上幕僚長は、これまでの記者会見で南西地域での陸自オスプレイの訓練に関しては「具体的計画はないが、地元の理解が得られれば行う可能性はある」と述べた。

■安全確保策 骨抜き

 MV22オスプレイは日米合同委員会合意で安全確保策として交わした飛行に関する覚書は「できる限り」などの文言で骨抜きにされている。

 普天間飛行場への配備に際し、日米合同委員会で承認した覚書では、同飛行場への進入や出発経路は「できる限り学校や病院を含む人口密集地域上空を避ける」とされている。だが、最近では2021年11月に住宅地にオスプレイから水筒が落下した。

 「米軍の施設や区域内でのみ垂直離着陸モードで飛行し、転換モードで飛行する時間をできる限り限定する」ともされるが、逸脱するような飛行もたびたび目撃されている。

 航空機騒音規制措置(騒音防止協定)に準じて、夜10時から翌朝6時までの間は、飛行や地上での活動は「運用上必要と考えられるものに制限される」とされるものの、夜間飛行は常態化しており、県や宜野湾市がたびたび順守を求めている。

 

 今年9月の日米合同委員会では、覚書で「地上から500フィート以上の高度で飛行する」としていたのを、22日間の限定だが「300フィート以上500フィート未満」(沖縄は除く)に引き下げ、当初の合意内容から緩和し、運用の幅を広げている。

 

■ 訓練移転 効果みえず

 米軍普天間飛行場所属MV22オスプレイに関し、防衛省は県外への訓練移転を進めるとしている。「沖縄での駐留や訓練時間が削減される」と負担軽減を強調するが、2016年9月の日米合意以降、毎年度ごとに2~3回ほど、計15回にとどまる。

 

 普天間飛行場には外来機も多く飛来しており、実質的な負担軽減につながっているとは言えない状況だ。

 

 1回目は16年、グアムなどに訓練を移転。その後は、北海道大演習場や東富士演習場静岡県)など国内で実施されている。

 

 防衛省によると、22年度は計3回の訓練移転を予定。1日から14日までの間、北海道内の演習場などで予定されている陸上自衛隊と米海兵隊の実動訓練「レゾリュート・ドラゴン22」にも訓練移転が組み込まれる形となった。

 

 移転に伴う航空機の飛行経費や人員・物資の輸送費は日本側が負担する。

 

 

 

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