沖縄タイムス 2019年11月13日 沖縄戦学徒 新たな名簿/大城教諭入手 厚生省作成か 開南中の記載も

沖縄戦学徒 新たな名簿/大城教諭入手 厚生省作成か 開南中の記載も
沖縄タイムス 2019年11月13日

 沖縄戦で動員された学徒隊について独自に調査する那覇市立松城中学校の大城邦夫教諭が12日、国立公文書館で入手した複数の学徒隊名簿を公開した。これまで公的資料がなかった私立開南中学校の資料もある。大城教諭は「新資料ではないか。遺族や同窓生に活用してほしい。若者が犠牲になった沖縄戦に関心を持ってほしい」と話す。

 

 資料は厚生労働省から2017年度に公文書館に移管されたもので、大城さんが今年情報開示を求めた。開南中のほか、県立第一中、県立第三中、県立農林学校、名護青年学校4校分の学徒隊名簿などがあり、八重山中の資料も請求中だ。

 

 公的資料では動員数や死者数が「不明」とされている開南中の資料では、「未帰還者名簿」として71人分の名前や住所などが記されている。同窓会元会長の大田朝成さん(92)は「こんな話全く聞いたことない」と驚き、「戦死者数が分かって動員数は分からないというのも不思議だし、どう受け止めればよいか分からない」と話す。

 

 このほか、第一中学校の資料では「部隊編入状況」として編入人員600などの記載があり、同校の養秀同窓会が調べた動員数305人と異なる点もある。

 

 全学徒の調査を行うひめゆり平和祈念資料館の普天間朝佳館長は「600という数字はありえない」と話し、「資料作成の詳しい経緯も知りたい」と関心を寄せる。 

 

 石原昌家・沖国大名誉教授(平和学)は「内容から1955年以降の資料で、当時の厚生省が進めていた学徒隊の復員処理関連の資料ではないか」と指摘。調査員の氏名や学徒の父母名など細かく記してある資料もあり「正確な内容とうかがい知れる。作成経緯をきちんと調べれば今後の研究に活用できるのでは」と話す。

 

 

(写図説明)大城邦夫教諭

(写図説明)情報公開制度で明らかになった資料の一部(大城邦夫教諭提供)

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