沖縄戦新聞(琉球新報) 4月21日「第32軍 方言使えばスパイ 極秘の住民監視隊設置」

 

第32軍 方言使えばスパイ 極秘の住民監視隊設置

沖縄戦新聞(琉球新報2005年4月21日

沖縄守備軍の第32軍司 令部は(1945年4月) 9日、各部隊に対し 軍人軍属を問わず「沖縄 語」を使えばスパイとみなし処分する、と指示した。 米軍が日本軍の第一防衛線 (宇地泊牧港嘉数我 如古 南上原 和宇慶) を突破しつつある中で、 日本 軍は県民に対する不信感を募らせているようだ。 米軍本島上陸直前に、住民を 監視する特務機関を極秘に 結成した。第三二軍会報によると 「今(今後)軍人軍属を問はず標準語以外の使用を 禁ず。沖縄語を以て談話し ある者は間諜(スパイ) として処分す」と記してい る。

 

軍は住民を監視するため、3月12日、特務機関 「国士隊」をひそかに結成した。隊員は医師、教員、 県会議員、元市町村長、大政翼賛会支部長ら30人余。いずれも国頭郡翼賛壮年団員で地域の有力者だ。 国士隊は名護町に本部を置き、恩納、大宜味、羽地、今帰仁、本部、 久志、 金武などに支部を設置。隊員は各地で住民を監視し、 軍や行政に不満を持つ者、 対米協力容疑者などを発見して守備軍に通告、逮捕させる任務に就いている。 特に外国からの帰還者、二世、三世は危険分子として監視対象になっている。

 

第32軍はスパイ防止策として1944年11月、「極秘 報道宣伝防諜等に関する県民指導要綱」を 作成。「軍民共生共死の一体化を具現化するため県民の思想動向を調査し、米 軍のスパイ活動を封殺する」ことに重点を置いてきた。 同要綱に基づき、住民の情報を収集するため、軍は たえず各部隊、憲兵隊や県 と密接に連絡して、「行動不審者の発見」「防諜違反者の取締」を強化してきた。

沖縄戦新聞(琉球新報) 4月21日「第32軍 方言使えばスパイ 極秘の住民監視隊設置」

 

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